特定技能外国人を採用しようと考えている企業(機関)は、「製造業特定技能外国人受入れ協議・連絡会(通称:協議会)」に必ず加入しなければなりません。
在留資格である特定技能1号を申請するまでには、ただでさえかなりの時間がかかります。
その上、比較的最初の段階で分野別に設けられた協議会に入会する必要があるため、企業としては迅速に入会手続きができるよう準備したいところです。
この記事では、
上記について解説します。
製造業特定技能外国人受入れ協議・連絡会について
まずは、製造業特定技能外国人受入れ協議・連絡会とはどのような協議会なのか、その概要をご紹介します。
簡潔にまとめると、特定技能外国人が適切な形で事業者に受入れられるよう、様々な側面から活動する協議会のことをいいます。
製造業特定技能外国人受入れ協議・連絡会とは
製造業特定技能外国人受入れ協議・連絡会(以下協議会と表記)は、特定技能外国人材制度の適切な運用を図るために設置された組織です。
具体的には、各地域の事業者が必要な特定技能外国人を受入れられるよう、制度・情報の周知や法令順守の啓発に従事するとともに、地域ごとの人手不足の状況を把握して必要な対応を行う役割を担います。
また、協議会の構成員が、連携を緊密化する点でも重要です。
ちなみに、協議会の構成員は以下の通りです。
一 経済産業省
二 法務省、外務省、厚生労働省及び国家公安委員会(以下「制度関係機関」という。)
三 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野の特定技能外国人を雇用する特定技能所属機関又は特定技能所属機関になろうとする本邦の公私の機関
四 地方公共団体、経済団体その他の団体(前号に該当する機関を除く。)であって、協議・連絡会の目的に賛同し、協議・連絡会の行う情報把握や周知等に協力するもの
※出典元:製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会 運営要領
特定技能外国人を雇用する企業は、上記の中では「三」のケースに属します。
協議会に入会すると、企業は構成員の一員になるわけですね。
製造業特定技能外国人受入れ協議・連絡会の活動内容
協議会は、単純な構成員の会合を目的とするものではなく、具体的な活動内容も存在しています。
協議会の活動内容は、以下の通り多岐にわたります。
○ 特定技能外国人の受入れに係る制度の趣旨や優良事例の周知
○ 特定技能所属機関等に対する法令遵守の啓発
○ 就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報の把握・分析
○ 地域別の人手不足の状況の把握・分析
○ 人手不足状況、受入れ状況等を踏まえた大都市圏等への集中回避に係る対応策の検討・調整
※(特定地域への過度な集中が認められる場合の構成員に対する必要な要請等を含む)
○ 受入れの円滑かつ適正な実施のために必要なその他の情報・課題等の共有・協議 等
※出典元:製造業における特定技能外国人材の受入れについて(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)
また、これまでの協議会の開催実績は、経済産業省のホームページで公開されています。
一例として、2022年9月2日に書面開催された協議会では、以下のような内容が共有されています。
※参照元:製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会(第9回)
まとめると、制度に関する新しい情報・制度改正にともなう対応等を共有して適切な制度運営を図るのが、協議会の役割と言えるでしょう。
製造業特定技能外国人受入れ協議・連絡会への入会要件
協議会に入会するための要件は、素形材産業・産業機械製造業・電気電子情報関連産業の3分野において、基本的には共通しています。
ただし、製造業分野において、自社が特定技能外国人を受入れられる事業所の種類に該当している必要があります。
以下、事業所が協議会に入会する際の要件について解説します。
すべての事業所に共通する要件
協議会への入会に際して、すべての事業所に共通する要件には、以下のようなものがあげられます。
※参照元:特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野の基準について
加入対象となる事業所の種類
次に、加入対象となる事業所の種類についてです。
運用要項別冊の内容を見ると、加入対象の事業所は、以下の通りとなっています。
※参照元:特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野の基準について
まとめると、上記に掲げる事業所で1号特定技能外国人が働こうとしている場合で、直近1年間のうちに製造品の出荷や加工賃収入の実績が生じていることが、協議会加入の条件となります。
製造業の企業が協議会に入会する際の手続きや注意点
実際に製造業の企業が協議会に入会する際は、必要書類を準備した上で、ポータルサイトから入会手続きを進める必要があります。
以下、協議会への入会時に必要な書類や手続きの流れ・注意点について解説します。
入会時に提出する書類について
協議会への入会手続きを行う際、企業側で提出する書類は以下の通りです。
※参照元:特定技能外国人材制度(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)ポータルサイト
これらの書類は、いずれも「証明書類作成テンプレート」を用いて作成・提出します。
また、証明書類が複数ある場合、1つのPDFファイルに8MB以内でまとめる必要があります。
提出者にとって特に難しいポイントは、単純に画像や資料を用意するだけではなく、詳細な説明も合わせて記載しなければならない点でしょう。
製造品の部品名・用途・機能など製造品などをまとめ、カラー写真・原則単体で撮影するなど、条件が細かい点に注意が必要です。
入会手続きについて
協議会への入会手続きは、特定技能外国人材制度(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)ポータルサイトから進めていきます。
入会申込みフォームへの入力は、記入途中であっても一時保存ができないので、事前に以下の情報について取りまとめておくことをおすすめします。
なお、入力項目一覧は、ポータルサイトの画面からダウンロードもできます。
以下、入力項目がまとめられたExcelの中から、各セクションで必要な情報についてご紹介します。
法人情報
法人情報の入力時に必要な情報は、以下の通りです。
入力項目のうち、必須項目は名称・住所となっています。
担当者連絡先
協議会から、届出内容に関する問合せを行う場合があるため、問合せに対応できる担当者名・連絡先を入力する必要があります。
具体的な担当者連絡先の入力項目は、以下の通りです。
受入れ事業所情報
受入れ事務所情報に関する入力内容は、以下の通りです。
受入れ事務所が本社工場の場合は、上記項目の入力は必要ありません。
単独の事業所のみの場合は「本社工場」とし、複数ある場合は、今回受入れを行う事業所名を「○○事業所」といった形で入力します。
また、請負による製造で、受入れる事業所が他社となる場合は、「請負:○○株式会社○○事業所内」と入力します。
なお、注意点として、複数の事業所で届け出る場合は、複数回の登録が必要です。
例えば、3つの事業所で受入れを行う場合には、届出は3回必要ということになります。
登録支援機関情報
登録支援機関情報に関する入力内容は、以下の通りです。
登録支援機関を活用しない場合は、上記内容の入力は必要ありません。
ただし、活用する場合は、後日申し出が必要です。
登録支援機関の活用を予定しているものの、現時点では契約していない場合(届出時点で委託契約しておらず、その後契約した場合)は、契約後4か月以内に、その旨を運営事務局宛てにメールで申告します。
事業所で特定技能外国人が従事する産業の日本標準産業分類(複数選択可)
入力フォームでは、日本標準産業分類を確認しながら、以下の情報を入力・提出することも必要になります。
※参照元:特定技能外国人材制度(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)ポータルサイト
1号特定技能外国人を受入れる事業所は,日本標準産業分類に掲げる、製造業の該当産業のいずれかに掲げるものでなければなりません。
中分類・小分類に該当する場合は、それ以下の細分類を含むものとされますが、除外項目がある場合はその記載内容に準じる点に注意が必要です。
入会にあたっての注意点
企業が特定技能外国人を受入れる際、特に注意しておきたい点として、特定技能外国人を受入れる機関(企業)は「例外なく協議会に加入する必要がある」点です。
また、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業の製造3分野においては、申請前までに入会手続きが済んでいなければなりません。
他の特定技能の分野にも協議会が存在しており、同様に加入の必要はあるのですが、加入スケジュールは入社後4ヶ月以内と比較的ゆとりがあります。
しかし、製造3分野に関しては、過去に入会要件を満たしていないケースが多発したことから、在留資格申請前の手続きに変更となっています。
そのため、協議会に加入しないまま、先に入管への在留資格変更許可申請を行ってしまうと、在留資格変更許可が下りないリスクがあります。
製造3分野で特定技能外国人を雇用する際は、まず協議会への加入を急ぐことが大切です。
また、特定技能の要件を満たした事業所かどうかの見極めは、自力では非常に難しい傾向にあります。
事前に経済産業省の確認を取った上で協議会入会手続きを行い、できれば入会が確定した後に採用活動を行うことが望ましいでしょう。
「特定技能1号」に移行予定の人材に関する特例措置について
書類が揃わないなどの理由から、在留期間満了日までに該当する人材の入会手続き・在留資格の申請手続きが完了しないおそれがある場合、特例として「特定活動」への在留資格変更申請を行うことができます。
この在留資格の期間は4ヶ月で、特定技能人材と同様の業務内容に従事しつつ、並行して特定技能の移行準備を進められます。
なお、特例措置の恩恵を受けられる条件は、以下の通りです。
※参照元:「特定技能1号」に移行予定の方に関する特例措置について
まとめ
製造業の協議会加入は、用意すべき書類が多いなど、総じて難易度が高い傾向にあります。
スケジュールもタイトになりがちなので、自社にノウハウがない状況での準備は、基本的に難しいものと考えておいた方がよいでしょう。
スムーズな協議会加入を実現するのであれば、実績十分な登録支援機関を頼るのが賢明です。
協議会加入に向けて、登録支援機関の活用を検討されている経営者様・企業担当者様は、ぜひFactory labのご利用をご検討ください。