特定技能

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February 12, 2025

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特定技能制度の「協議会」とは|活動内容や分野別の入会方法を解説

目次

特定技能外国人を自社で採用し、特定技能人材として働いてもらうためには、それぞれの分野別に設けられた「協議会」に加入することが義務付けられています。

特定技能制度の協議会は、特定技能人材の適切な管理・権利保護などを目的として立ち上げられていますが、特定の地域に人材がまとまらないような取り組みも行っています。

この記事では、特定技能制度の協議会について、主な活動内容や加入要件、分野別の入会方法など幅広く解説します。

特定技能制度における各分野の協議会とは

特定技能制度における協議会とは、主に「制度の適切な運用」「外国人材の保護」を目的として、特定技能の分野ごとに設けられている専門機関のことをいいます。

以下、各協議会に共通する設置目的・活動内容・求められる役割について解説します。

特定技能の協議会の設置目的

特定技能制度における協議会は、次のような目的で設置されています。

・特定技能人材の適正な受入れおよび保護
・特定技能人材が日本国内で就労を継続するためのサポート
・地域ごとの人手不足状況の把握・分析 など

まとめると、協議会は、受入れ機関となる企業等が特定技能人材をスムーズに受け入れ、自社で活躍してもらえるような環境を整備する組織といえます。

その他、協議会の構成員同士が緊密な連携をとれるようにすることも、協議会設立の目的に含まれています。

特定技能の協議会の活動内容

特定技能の各分野に共通する協議会の活動内容としては、次のようなものがあげられます。

  • 情報公開・周知
  • 法令順守に関する啓発
  • 社会の変化にともなう情報の把握・分析(就業構造や経済情勢等)
  • 人手不足に関する状況把握・分析(地域別)
  • 大都市圏への人材の集中を回避するための対応策検討・調整
  • その他、特定技能人材の受入れを円滑・適正に実施するために必要な情報等の共有や協議 など

具体的な活動内容に関しては、分野別に管轄となる省庁が分かれている都合上、異なる部分も見られます。

実際に協議会加入に向けて情報収集を行う際は、自社が含まれる分野の協議会の情報収集を行うことが大切です。

協議会に求められる役割

特定技能制度の協議会で共通して求められる役割は、主に「特定技能人材の円滑な受入れ・就労のサポート」としてまとめることができます。

企業が特定技能人材を受け入れるにあたっては、在留資格・言語・生活習慣の相違といった多様な問題があるため、それらを解決、または未然に防ぐ上で、協議会の存在は欠かせないものとなっています。

人材の労働環境の改善や生活支援、技能向上といった問題は、必ずしも企業だけで解決できるとは限りません。

特定技能人材の場合、一定の日本語力は担保されているとはいえ、例えば技術・人文知識・国際業務の在留資格を取得している人材に比べると、日本語や日本文化に馴染むまで時間がかかる可能性も十分考えられます。

そのような特定技能人材と、人材を雇用する企業に対して、協議会は研修・講習等を通じて必要なスキル・知識を伝える立場にあります。

このことから、各分野における協議会を上手く活用することが、特定技能人材の雇用においては重要といえます。

特定技能制度における協議会の加入について

特定技能制度における協議会のあらましが理解できたところで、続いては協議会の加入について、具体的な事項に触れていきます。

協議会への加入は

冒頭でも少し触れましたが、特定技能制度における協議会への加入は、特定技能人材を受入れるすべての受入れ機関(企業等)にとって「義務」となります。

特定技能人材を雇用して自社で働かせたいと考えている企業は、自社が該当する分野につき、その協議会の構成員となる必要があります。

協議会への加入要件

特定技能制度における協議会への加入要件は、大まかにまとめると次の2点となります。

●受入れ企業の業種が協議会の各分野に属していること

●各分野の協議会が求める必要書類を提出できること

2025年2月現在、特定技能制度の対象分野は、以下の16分野となっています。

介護造船・舶用工業自動車運送業飲食料品製造業
ビルクリーニング自動車整備鉄道外食業
工業製品製造業航空農業林業
建設宿泊漁業木材産業

特定技能人材を雇用したい場合、上記分野に属する自社の稼働分野につき、協議会に加入しなければなりません。

また、実際に協議会に加入するためには、各分野で異なる必要書類を用意することになります。

例えば、ビルクリーニングと建設の2分野につき特定技能人材を雇用したい場合、それぞれの協議会に加入する形になるため、必要書類の種類に関しては混同しないよう注意しましょう。

協議会に入会するタイミング

協議会に入会するタイミングは、2024年6月15日以降から「受け入れる予定がある特定技能外国人の在留申請前」に改正されました。

それまでは、多くの分野で受入れ後4ヶ月以内という期限が設けられていましたが、今後は特定技能外国人の採用が決まった段階で加入申請を行うイメージになるでしょう。

協議会に入会する際の費用

協議会への入会費用は、多くの分野で無料となっているため、基本的には費用の準備は必要ありません。

ただし、建設業の「建設技能人材機構(JAC)」に関しては、年会費・受入負担金が発生します。

上記の年会費・受入負担金につき、具体的な金額・条件等は以下の通りです。

会員の種類支払対象会費備考
正会員受入れ企業正会員団体が定める会費受入れ企業等が「JACの正会員団体」に所属する場合は、
正会員団体が定める会費を団体に納める
正社員団体年会費36万円以下の場合は会費が免除される
●傘下の特定技能人材受入企業による建設技能人材機構
への受入負担金の支払いにつき、収納代行業務を行い、
かつ試験問題作成等の事業協力を行っている企業等
●傘下に特定技能人材の受入れ企業がない企業等
賛助会員受入れ企業年会費24万円所属している団体が建設技能人材機構の正会員ではない場合、
個人で建設技能人材機構に所属している場合は、賛助会員の年会費を支払う
登録支援機関年会費24万円 
※(例外あり)
賛助会員のうち、登録支援機関に関しては、
契約建設企業の数によって以下の通り年会費が変わる
・20社未満:12万円 
・10社未満:6万円 
・5社未満:3万円 
※(登録支援機関の入会は任意)
受入負担金受入れ企業月額12,500円1号特定技能外国人を受け入れた際、受入れ企業は1人あたり月額
12,500円の受入負担金(年額15万円)を負担する

特定技能制度における協議会の分野別一覧

特定技能制度における、各分野の協議会および管轄省庁は、以下のようになっています。

分野協議会省庁
介護介護分野における特定技能協議会厚生労働省
ビルクリーニングビルクリーニング分野特定技能協議会厚生労働省
工業製品製造業製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会経済産業省
建設一般社団法人 建設技能人材機構国土交通省
造船・舶用工業造船・舶用工業分野特定技能協議会国土交通省
自動車整備自動車整備分野特定技能協議会国土交通省
航空航空分野特定技能協議会国土交通省
宿泊宿泊分野特定技能協議会国土交通省
自動車運送業自動車運送業分野特定技能協議会国土交通省
鉄道鉄道分野特定技能協議会国土交通省
農業農業特定技能協議会農林水産省
漁業漁業特定技能協議会水産庁 (農林水産省)
飲食料品製造業食品産業特定技能協議会農林水産省
外食業食品産業特定技能協議会農林水産省
林業林業特定技能協議会林野庁 (農林水産省)
木材産業木材産業特定技能協議会林野庁 (農林水産省)

上記を踏まえた上で、それぞれの分野の協議会に入会する方法や、必要な書類について解説します。

協議会の分野別入会方法

各分野によって、協議会に入会するための手順・方法は異なります。

以下、それぞれの分野における協議会の入会方法をご紹介します。

分野入会方法
介護●協議会申請システムを介したオンライン上での手続きとなるため、FAXや郵送での受付不可
ビルクリーニング厚生労働省公式サイトからアクセスできる「ビルクリーニング分野特定技能協議会加入申請ページ」にて、
必要事項入力後に「確認」ボタンをクリック
工業製品製造業必要書類を準備して、ポータルサイトから入会手続きを進める
建設入会資料ダウンロード後、エントリーフォームから入会申請し、必要書類を送付
造船・舶用工業●郵送で、造船・舶用工業事業者の確認申請手続きと、協議会加入手続きを実施
自動車整備●国土交通省のサイトから、協議会加入申請に必要な書類をダウンロード後、必要事項を記入する 
●書類の提出先は、特定技能人材を受入れる事業所管轄の地方運輸局 ※(直接持参、郵送いずれも可)
航空国土交通省のサイトから、協議会加入申請に必要な書類をダウンロード後、
必要事項を記載して電子メールまたは郵送で申請
宿泊e-Gov電子申請によるオンライン申請
自動車運送業国土交通省のサイトから、該当するフォームより申請
鉄道国土交通省のサイトから、協議会加入届出書をダウンロードし、
必要事項を記載した後で以下メールアドレスにWordデータのまま送信
 メールアドレス:hqt-gaikokujinzai-tetsudo@gxb.mlit.go.jp
農業所定のフォームに必要事項を入力し、Web申請
漁業所属する2号構成員(受入れ機関を指導する立場の団体)に、
必要書類と併せて申請書を提出
飲食料品製造業所定のフォームに必要事項を入力し、Web申請
外食業所定のフォームに必要事項を入力し、Web申請
林業所定のフォームに必要事項を入力し、Web申請
木材産業●(一社)全国木材組合連合会から、「農林水産業・食品産業の作業安全のための規範(個別規範:木材産業)事業者向け」
    の取組み状況について確認証の交付を受ける 
●「別記様式第1号:木材産業特定技能協議会入会申請書」に必要事項を記入後、添付書類と併せて事務局にメールにて送付

協議会の分野別必要書類

協議会加入にあたって必要な書類も、各分野によって異なります。

以下、分野別の必要書類をご紹介します。

介護分野の必要書類

介護分野で協議会に加入するにあたり、必要となる書類は以下の通りです。

※出典元:「介護分野における特定技能協議会」への手続きの留意事項・提出書類について

ビルクリーニング分野の必要書類

ビルクリーニング分野で協議会に加入するにあたっては、フォームからの入会申請後にメールで必要書類に関する説明を確認してから、データで必要書類を提出しましょう。

フォームでの入会申請の内容に特段問題がなければ、以下の書類の提出が必要になります。

  • 特定技能外国人の在留カード
  • ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験の合格証書

※(ビルクリーニング分野の技能実習1号を良好に修了した人材は不要)

工業製品製造業

工業製品製造業で協議会に加入するにあたり、必要な書類は概ね以下の通りです。

証明書類 
※(必須)
①製造品
②完成品(最終製品) 
③製造品を生産するために用いた設備や製造工程の説明 
④証跡画像(出荷実績)
該当者のみ提出が必要なもの⑤請負契約書の写し ※(請負による製造の場合) 
⑥製造品の画像提出不可の理由書 
※(何らかの事情により製造品等の画像が提出できない場合) 
⑦その他、確認プロセスの中で追加提出が必要になったもの

なお、必要な証明書類、および届出の内容に関しては、産業分類によって異なる点に注意しましょう。

建設

建設業で協議会に加入するにあたり、必要な書類は以下の通りです。

正会員各正会員団体が求める書類等
賛助会員履歴事項全部証明書、印鑑証明書等

※参考記事:建設業の特定技能で重要な機構「JAC」とは?目的や役割・加入に関する情報を解説

造船・舶用工業

造船・舶用工業で協議会に加入するにあたり、必要な書類は以下の通りです。

<確認申請手続き時(申請書に加えて)>
・登記事項証明書
・請負契約書、売買契約書、定款、有価証券報告書など(一部条件に該当する場合に必要)

自動車整備

自動車整備業で協議会に加入するにあたり、必要な書類は以下の通りです。

・協議会第1号様式:
協議会入会届出書 兼 構成員資格証明書(特定技能所属機関)
・別表第1:
自動車整備分野特定技能協議会 遵守事項
上記を記入して提出後、不備がなければ構成員資格証明書が交付される

航空

航空業で協議会に加入するにあたり、必要な書類は以下の通りです。

証明書第1号様式: 
航空分野特定技能協議会加入届出書 兼 構成員資格証明書(特定技能所属機関)
添付書類<空港グランドハンドリング>
 特定技能外国人が働く空港の管理者等から受けた「営業承認書類の写し」
 <航空機整備> 
航空機整備等の能力につき、国土交通大臣による認定を受けた者であることを証明する書類の写し

宿泊

宿泊業で協議会に加入するにあたっては、e-Gov電子申請サイトで必要事項を入力するのみで問題ありません。 

自動車運送業

自動車運送業で協議会に加入するにあたっては、国土交通省のサイトにおける、[第1号様式]自動車運送業分野特定技能協議会加入届出書(特定技能所属機関)のフォームに必要事項を入力します。

ただし、以下条件の入力にあたり番号の入力が求められるため、入力時は事前に確認しておきましょう。

  • 働きやすい職場認証登録番号
  • Gマーク取得事業所認定証番号

鉄道

鉄道業で協議会に加入するにあたっては、以下の書類を準備する必要があります。

届出書・証明書第1号様式:
 協議会加入届出書兼構成員資格証明書(特定技能所属機関)
添付書類<鉄道事業法による鉄道事業者、軌道法による軌道経営者以外の事業者の場合>
 鉄道事業または軌道事業の用に供する施設、もしくは車両の整備・製造に関する事業を営む者であることを証明する書類の写し等

添付書類に関しては、鉄道事業者・軌道経営者等からの業務委託契約書の写しなどが該当します。

農業

農業の協議会加入に関しては、Web申請で必要情報を入力し、特段の不備がなければ「加入通知書」がメールで届きます。

漁業

漁業の協議会加入に関しては、以下の書類が必要です。

申請書類●【様式第1-1号】漁業特定技能協議会1号構成員加入申請書 
●【様式第1-2号】漁業分野特定技能1号構成員申請内容(令和6年3月15日改正)
添付書類<雇用契約の概要>
 ・特定技能雇用契約書 
・雇用条件書

 <雇用契約の概要(派遣形態の場合)> 
・派遣計画書 ・就業条件明示書 
・派遣先の概要書(漁業分野) 
・派遣許可書 

<その他> 
●協議会において、協議が調った事項に関する措置を講じていることが確認できる書類 
●その他、基準への適合の確認に必要な書類

飲食料品製造業・外食業

飲食料品製造業・外食業においては、協議会加入にあたり、以下の書類を準備する必要があります。

※出典元:農林水産省|食品産業特定技能協議会(飲食料品製造業分野・外食業分野)について

林業

林業においては、協議会加入にあたり、以下の書類を準備する必要があります。

※出典元:林野庁|「林業特定技能協議会」WEB申請(加入)

木材産業

木材産業においては、協議会加入にあたり、以下の書類を準備する必要があります。

  • 入会申請書(別記様式第1号:木材産業特定技能協議会入会申請書)
  • 定款の写し、またはそれに代わる書面
  • 特定技能外国人を勤務させる事業所の機械設備一覧表
  • (一社)全国木材組合連合会から交付を受けた確認証 

特定技能制度における協議会加入時の注意点

協議会に加入する際は、特定技能人材の在留資格申請のスケジュールを鑑みて、早めに協議会に加入できるよう準備を進めましょう。

というのも、特定技能の在留資格申請にあたっては「協議会加入証明書」が必要になるからです。

協議会の中には、名簿を証明書に代えて利用しなければならないところもあり、名簿登録まで時間がかかってしまうと人材が在留資格を取得できないまま時間が過ぎてしまうおそれがあります。

協議会加入に向けて手続きを行う際は、そのような事情を鑑みて予定を立てましょう。 

まとめ

特定技能人材を雇用する場合、受入れ機関である企業は各分野の協議会に加入しなければなりません。

審査には時間がかかることが予想されるため、手続きは遅滞なく進めましょう。 

自社で活躍してくれそうな特定技能人材の確保や、各種申請・支援に関する業務は、自社ですべてを賄うには限界があります。

特定技能人材の雇用につき、協議会加入も含め幅広い分野でサポートの必要性を感じている企業担当者さまは、Factory labの「特定技能支援事業」サービスをぜひご活用ください。

ファクトリーラボ株式会社の代表

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