外国人が日本で働く際の就労ビザは、教授・介護・特定技能・技人国など様々な種類があります。
しかし、一般的に就労ビザについては「技術・人文知識・国際業務ビザ」と考えられています。
外国人の就労ビザに関する比較的最近のトピックとしては、2019年に特定技能ビザが新設されたことがあげられます。
そのため、特定技能ビザと就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)の違いがよく理解できず、外国人材の採用に踏み切れない企業も少なくありません。
この記事では、そんな就労ビザと特定技能ビザの違いについて、在留期間・要件・業務内容など複数の観点から違いを解説します。
就労ビザおよび特定技能ビザの概要
外国人が就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)・特定技能ビザを取得する際は、所定の条件を満たしていることが必要です。
以下、就労ビザと特定技能ビザの概要をご紹介します。
就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)
「技術・人文知識・国際業務」ビザは、事務職、専門職やエンジニアなど、いわゆるホワイトカラーの外国人が取得できるビザです。
具体的には、以下のような業務に従事する外国人を受入れるために設けられています。
また、上記の業務例は、概ね以下の通りです。
技術・人文知識・国際業務について詳しく知りたい方はこちらもご覧ください
⇒在留資格「技術・人文知識・国際業務」とは|要件や申請の流れ・注意点も解説
特定技能ビザ
特定技能ビザは、日本国内で人手不足が深刻な分野において、一定の専門性・技能を持つ即戦力外国人の受入れを認めているビザです。
特定技能の種類は1号と2号に分かれていて、それぞれ以下の分野が対象となります。
出入国在留管理庁の資料によると、2022年6月時点で、特定技能2号在留外国人の数は1名となっています。
よって、特定技能ビザで日本に在留している外国人のほとんどは、基本的に特定技能1号と考えて差し支えないでしょう。
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⇒特定技能外国人の受け入れ費用は?負担を抑える方法と注意点も解説
⇒【特定技能人材の雇用】登録支援機関の役割や選び方のポイント5つを解説!
その他の就労ビザ
参考情報として、技術・人文知識・国際業務ビザ以外の就労ビザについても、いくつかご紹介します。
ただし、就労ビザとしてはやや例外的な位置づけで考えて問題ありません。
就労ビザと特定技能ビザの違いについて
就労ビザと特定技能ビザは、そもそもの成り立ちからして異なりますが、細かい部分でも違いが見られます。
以下、「技術・人文知識・国際業務」と「特定技能1号」にフォーカスして、様々な角度から違いについて解説します。
在留期間
就労ビザと特定技能ビザの大きな違いとして、在留期間があげられます。
以下の表の通り、在留できる期間の上限も、1度の申請で与えられる在留期間にも違いが見られます。
ただし、特定技能2号に関しては、ビザを更新する限り、期間の上限なく日本に在留できるのが特徴です。
将来的には、特定技能1号から2号へのビザ変更ニーズが高まるものと予想されます。
業務内容および現場労働の有無
業務内容・現場労働の有無に関しても、それぞれのビザで違いが見られます。
日本人労働者と比較すると、外国人材に多種多様な仕事を経験してもらうような、いわゆる「ゼネラリスト」的な配置は難しいでしょう。
いずれのビザも、就労するジャンルは細かく定められていますが、特定技能の方が業務内容にやや柔軟性が見られます。
一方で、就労ビザの方が、認められる職種そのものの幅は広いものと推察されます。
例えば、バックオフィス部門で働くにあたり、母国で幅広い経験を積んでいる人材なら、キャリアに応じて経理・総務・労務など複数の選択肢が選べる可能性があります。
もちろん、あまりにも畑違いのジャンルで働くことは難しいでしょうし、単純労働は認められないので、配置に関しては注意したいところです。
試験の有無
特定技能ビザは、全分野共通の日本語試験と、各分野で定められている技能試験をクリアしなければ取得できません。
日本語に関しては、日常的に用いられる基本的な日本語が理解できれば合格できるレベルとされますが、介護分野は介護日本語評価試験に合格する必要もあり、決してかんたんな話ではありません。
これに対して就労ビザは、試験を受ける必要はないものの、これまで培ってきた実務経験や学歴等で要件を満たせるかどうかが決まってきます。
具体的には、以下のように要件が明確化されています。
まとめると、特定技能ビザは試験によって取得でき、就労ビザはこれまでの学歴・キャリアが評価されることによって取得できるビザと言えるでしょう。
ちなみに、各分野・業務区分に対応する技能実習2号を良好に終了した外国人に関しては、特定技能の技能試験が免除されます。
家族と一緒に暮らせるかどうか
家族帯同に関しても、就労ビザと特定技能ではルールが異なります。
大まかにまとめると、以下のような違いが見られます。
なお、特定技能2号に関しては、家族帯同が認められます。
また、就労ビザ取得者の家族が、家族滞在ビザで日本に在留している間は、資格外活動許可を取得することにより、週28時間以内のアルバイトに従事可能です。
永住の可能性
日本で働く外国人材が、将来的に継続して日本で暮らしたいと考える場合、永住ビザの申請を視野に入れることになるでしょう。
よって、永住したい場合は法律上の要件を満たす必要があり、具体的な要件は以下の通りです。
就労ビザと特定技能ビザは、長ければ数年間日本に滞在できるビザではあるものの、永住の可能性に関しては以下のような差が見られます。
技能実習と特定技能に関しては、残念ながら永住の対象となる就労資格には含まれていません。
よって、将来的に永住を目指すのであれば、特定技能1号は不利と言わざるを得ないのが実情です。
ただし、まったくルートがないわけではなく、特定技能2号に移行すれば永住の可能性が見えてきます。
また、介護分野の特定技能1号に関しては、介護の仕事を3年以上続けた後で介護福祉士の資格を取得することにより、在留資格「介護」への移行ができます。
その他の選択肢としては、特定技能1号で在留中に通信制の大学等へ進学したり、日本語能力試験で高いスコアを出して技能実習生等への通訳業務の経験を積んだりする方法が考えられます。
最終的に、十分なキャリアを積むことができれば、就労ビザへの切り替えが認められる可能性があります。
就労ビザと特定技能ビザに共通していること
就労ビザと特定技能ビザは、何かと違いが多いビザですが、それぞれに共通している部分もあります。
以下、共通点をいくつかご紹介します。
転職の可否
就労ビザも特定技能ビザも、基本的に転職が認められる在留資格です。
この点は、企業が採用を検討する上で重要な部分なので、まず押さえておきたい共通点と言えます。
特定技能1号に関しては、介護を除いて日本語能力の要件が共通しているため、転職先の分野・業務区分における技能面での要件を満たしていれば、その範囲内で転職が可能です。
ただし、転職する度に在留資格の変更が必要です。
就労ビザに関しては、所属機関の変更の届出を行うだけで問題なく、ビザそのものの切り替えを都度必要としません。
しかし、転職先の業務内容が、就労ビザの要件に合致しないと審査で判断された場合、ビザの更新が認められないおそれがあります。
給与の水準
就労ビザ・特定技能ビザは、日本人と同等以上の給与水準で雇用契約を結ぶことが求められます。
いわゆる低賃金労働者としての雇用は検討できず、その点において2種類のビザに違いはありません。
基本的には、同じ職場で同様の業務に従事する日本人の報酬が基準となりますが、他の企業の賃金も参考情報として判断されます。
よって、業界全体の平均賃金よりも低い水準であれば、ビザが取得できない可能性があります。
まとめ
外国人労働者を自社で採用する際は、就労ビザと特定技能ビザの違いに注目しつつ、採用計画を立てる必要があります。
それぞれの違いを把握した上で、自社のニーズに合う人材を見つけるのは、決してかんたんなことではありません。
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