在留資格

ファクトリーラボ株式会社の代表

MOLI

公開日

August 18, 2024

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特定技能人材が在留期間満了を迎えたらどうする?更新の方法を解説

目次

特定技能1号の在留資格は、在留期間が通算5年となっています。

特定技能制度がスタートしたのは2019年4月のため、制度が創設されてから間もない時期に特定技能1号人材として来日した外国人の中には、近いうちに在留期間切れを迎えようとしている人も少なくありません。

しかし、2023年(令和5年)6月9日の閣議決定で、特定技能2号の対象分野が11分野に拡大したことにより、事実上在留期間の制限がなくなる「特定技能2号」への移行という選択肢が生まれました。

※参考:特定技能2号が業種拡大へ!事業主が押さえておきたいポイント

この記事では、主に特定技能1号から2号への移行を想定して、在留期間満了時の更新手続きについて解説します。

特定技能1号が在留期間満了を迎えた際の主な選択肢

特定技能1号人材が、在留期間満了を迎えた場合、大きく分けて次のような選択肢があります。

特定技能2号へ移行移行することで、在留期間の上限を外して日本で働くケース
技術・人文知識・国際業務
ビザへの移行
より高い技能・日本語能力をアピールし、特定技能よりも高い水準で働くケース
配偶者になる日本国内で日本人、または外国人と結婚し、配偶者の在留資格を取得するケース
帰国日本での就労は「出稼ぎ」感覚で、5年が経過した段階で帰国するケース

 その他、特定技能で3年以上介護系の会社で働いた後、介護福祉士試験に合格することにより、在留資格「介護」への変更が認められるケースもあります。

介護の在留資格を取得すると、在留期間更新の回数制限がなくなるメリットがある反面、最短で3年間の実務経験が必要になるなどハードルは高い傾向にあります。

上記の中でも、特に特定技能2号への移行は多くの企業が想定しているものと思われるため、本記事では詳細を後述します。

特定技能1号の在留期間満了についておさらい

現在、特定技能1号人材を雇用している場合、企業担当者の方は「在留期間満了のタイムリミット=通算5年」であることを理解しているはずです。

しかし、ここでいう通算のカウント開始日は「在留カードを受け取った日(特定技能として入国した日)」となるため、誤って「雇用開始日」からカウントしていないかどうか、本記事を一読したら念のため確認することをおすすめします。

また、特定技能人材の状況によっては、通算期間に含まれるケース・含まれないケースがあり、それぞれ次のようなものが該当します。

通算期間に含まれるケース●産業分野・業務区分が変更となったケース(特定技能1号)
●前職で特定技能の在留資格で終了していた期間(転職者)
●通算カウント開始日以降に外国人材が帰国した期間
●産前・産後の休暇や育児休暇
●失業していた期間
●労働災害によるケガ、病気を理由に就労できなかった期間
●再入国許可による出国期間(みなし再入国許可を含む)
●在留期間更新許可申請、または在留資格変更許可申請中
 (転職を行うケースのみ)の特例期間
●2019年4月施行時の特例期間中、特定技能1号への移行準備の
 ため「特定活動」の在留資格で在留していた期間
通算期間に含まれないケース●新型コロナウイルスの感染拡大防止にともなう上陸拒否により、
 再入国ができなかった期間
●「特定活動(雇用維持支援)」の在留資格で活動していた期間

※特定活動についての参考記事:在留資格「特定活動」とは|特定技能1号との関連性や雇用時の注意点も解説

在留期間満了となった場合、その後は特定技能1号として就労することはできません。

仮に、自社における雇用契約が残っていたとしても、その点は考慮されないため注意が必要です。

なお、「特定技能の通算期間」と「在留期限」は別ものであり、特定技能1号人材は通算期間が5年に達する日までしか就労できませんが、雇用期間が終了しても、在留期限までは法律上在留が可能となっています。

特定技能1号の在留期間満了にともなう2号移行について

先述の通り、特定技能2号の対象分野が11分野に拡大していることから、これまで特定技能1号として働いてきた外国人材が引き続き日本に在留するには、特定技能2号への移行がもっともスムーズな選択肢となるでしょう。

以下、特定技能1号から特定技能2号へと移行を目指すにあたり、外国人材や企業が知っておきたいことを解説します。

特定技能2号への移行準備について

特定技能1号人材が、2号へ移行するにあたっては、基本的に同じ企業・同じ分野・同じ業務区分での移行となることが予想されます。

よって、評価試験や実務経験、分野によっては日本語能力の要件を満たしていれば、在留資格変更許可申請を行い2号へと移行する流れになります。

基本的に、更新の申請は外国人材本人が行います。

しかし、企業側で用意しなければならない書類も多いため、次のような人が取次を行う場合もあります。

  • 申請取次の研修を受け、承認を受けている企業担当者
  • 特定技能に関連する各種手続きに精通した行政書士 など

移行にともない必要となる書類一例

外国人材側で準備が必要な書類も、企業側で準備が必要な書類も、特定技能の分野によって詳細が異なります。

その上で、主に必要となる書類の一例は以下の通りです。

外国人材●健康診断の結果
●課税証明書(住民税・直近1年分)
●納税証明書(住民税・未納がないもの)
●源泉徴収票の写し(課税証明書の所得と同年度のもの)
●証明写真
●評価試験等の合格証
●日本語能力検定等の合格証(分野によっては必要)
●パスポート、在留カード(ともに申請時に提出が必要)
 ★国民健康保険証の写し
 ★国民健康保険の納付証明書
 ★国民年金の領収書・納付状況が分かる書類(直近2年分)
 ※(★は社会保険加入のケースでは提出不要)
企業 ●特定技能所属機関概要書
●特定技能雇用契約書の写し
●雇用条件書の写し
●登記事項証明書
●業務執行に関与する役員の住民票の写し
●特定技能企業の役員に関する誓約書
●労働保険料等の納付証明書
●社会保険料納入状況回答票 または 健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し
(申請月の前々月まで24ヶ月分)
●法人住民税の納税証明書(直近2年分)
●税務署発行の納税証明書(その3)
●労働保険事務組合が発行した労働保険料等納入通知書の写し 及び 通知書に
 対応する領収証書(口座振替結果通知ハガキ)の写し
 ※(ともに直近2年分)
●協議会の構成員であることの証明書

移行準備を始めるタイミング

更新申請を始められるタイミングは、原則として在留期限の3ヶ月前となっています。

その上で、必要書類は先にあげた通り多数存在するため、念のため在留期限の4ヶ月以上前から準備を始めても、決して早すぎることはありません。

一般的に、入管で審査にかかる期間は1~3ヶ月が想定されますが、日本では4月入社する外国人材が多いものと推察され、例年1~3月は通常より審査に時間を要する可能性があります。

そのような事情から、準備は早ければ早いほど有利になるため、ゆとりをもって申請の準備を進めましょう。

更新が間に合わなさそうな場合はどうする?

移行準備を始めようと考えたものの、在留期限の4ヶ月を切ってしまっている場合は、まず「在留期限までに“絶対に”更新申請を済ませる」よう動いてください。

最悪、申請さえ済んでしまえば、仮に在留期限までに許可が下りなかったとしても、許可が下りるまでは特例期間となり、その時点で即座に不法滞在と判定されることはありません。

特例期間は、以下のうち、いずれか早い時期となります。

・審査の結果通知まで
・在留期間の2ヶ月後まで)

なお、在留期間までに更新申請が間に合わなかったら、ただちに特定技能人材を連れて最寄りの入管に相談しましょう。

場合によっては、例外的に短期滞在等の在留資格変更が認められる可能性もあるため、あきらめないことが大切です。

まとめ

特定技能1号人材は、基本的に在留期間満了となった段階で、1号として在留資格の更新ができなくなります。

より現実的な方法としては、特定技能2号への移行を目指す必要があり、そのためには早い段階で必要書類等の準備をしなければなりません。

在留期限までに手続きを進めたいものの、自社で円滑に準備を進めるための人的リソースが不足している場合は、行政書士などプロの力を借りることも検討しましょう。

ファクトリーラボでも、特定技能を含む海外人材の採用・定着に関するサポートを行っておりますので、お気軽にご相談ください。

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