在留資格

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MOLI

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October 9, 2024

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中国人を雇用するメリットや流れ・注意点|在留資格にも触れつつ解説

目次

将来の深刻な労働力不足が懸念されている日本では、人材不足に悩み、新卒採用はおろか中途採用も苦戦している企業が一定数存在しています。

そのような状況に置かれた企業にとって、外国人労働者を雇用する重要性は日々増している状況です。

特に、古くから日本にとって経済的に重要なパートナーである中国の人材は、優秀な労働力として注目されています。

この記事では、中国人材を自社で雇用するメリットや雇用の流れ・注意点などについて、採用可能な在留資格に触れつつ解説します。

日本における中国人雇用の現状

日本ではたくさんの外国人が働いており、厚生労働省が発表している「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)によると、中国人はベトナム人に次いで労働者数が多い国です。

その数は397,918人で、外国人全体の約20%を占めています。

また、中国人労働者の在留資格を見ると、以下の内訳となっています。

在留資格人数
専門的・技術的分野の在留資格
(技術・人文知識・国際業務/特定技能など)
148,207人
身分に基づく在留資格
(永住者/定住者/日本人・永住者の配偶者等など)
135,004人
資格外活動
(留学など)
73,621人
技能実習36,558人
特定活動4,518人

上記の通り、多くの中国人は専門的・技術的分野の在留資格で来日し、それぞれの能力・スキルを活かして働いていることが分かります。

このことから、技能面で優秀な人材を探している企業にとって、中国人材は魅力的な存在といえます。

中国人材が自国ではなく日本で働く背景

中国の人材が働くために来日する背景には、中国現地における若年者の失業率が高いことがあげられます。

中国政府が公表しているデータによると、中国の若年失業率は2023年6月に21.3%と、過去最高の水準に達している状況です。

文部科学省科学技術・学術政策研究所の「科学技術指標2023及び科学研究のベンチマーキング2023」では、中国の科学技術論文数は世界1位にカウントされており、アメリカを追い抜いています。

そのような状況にもかかわらず、若年者の失業率が高いのは、需要を上回る過剰な大学進学者数、及び卒業者数の増加が一因と考えられます。

皮肉なことに、国内に優秀な人材がひしめく中国においては、学歴競争・就職競争も熾烈を極め、若年者の中には自分の能力よりも低いレベルの仕事に就いて高額消費・結婚・出産をあきらめる「寝そべり族」なども登場しています。

そのような事情もあって、より魅力的な職場を求めて日本での就転職に臨む中国人材は、今後さらに増えるものと考えられます

中国人材を雇用するメリット

中国人に限らず、労働力確保のため外国人材を採用するメリットは大きいものの、少しでも自社に優秀な人材を招き入れたい日本企業は、中国人材の採用に注目したいところです。

以下、その理由として、具体的な雇用メリットをいくつかご紹介します。

 採用ターゲットに若年者を据えられる

中国は20代・30代の人口が多いことから、主な採用ターゲットとして若年者を据えている企業にとっては、中国人材が採用目標を達成する上で重要な存在となるでしょう。

中国人材の中には、日本での働き方・文化に興味を持っている人も一定数存在しているため、雇用契約が結ばれればお互いにとってwin-winになる可能性は十分あります。

現段階で若年者の採用に伸び悩みを感じており、次代を担う人材を少しでも多く採用したいと考えている企業においては、中国人材の採用を本格化することが企業の寿命を延ばすことにつながるはずです。

優秀な人材とのマッチングが期待できる

中国国内では、日本と比べて受験・就活の難易度がはるかに高く、日本では十分に活躍が見込めるはずの人材が希望する業種・職種で働けないケースも往々にして存在しています。

よって、中国国内で職に就けなかった人材の中には、高い潜在能力を持つ人材が数多く存在しているものと考えられます。

言語の壁さえ超えてしまえば、その優秀な能力をいかんなく発揮できるチャンスがあることから、日本での就職に前向きな中国人材も少なくありません。

日本企業は、この点を踏まえた上で中国人材を評価することにより、優秀な人材とのマッチングが期待できます。

中国本土におけるビジネス展開をにらむことが可能になる

世界第2位のGDPを誇る中国市場は、世界各国のビジネスパーソンが注目を集める市場の一つです。

日本においても中国企業・工場などとやり取りする企業は数多く存在しており、日中双方の言語に長けている人材を採用できれば、さらなるビジネスチャンスにアクセスすることが可能になります。

特に、中国は日本と商習慣・文化が異なるため、ネイティブの感覚が分かる人材を採用することは、中国企業とのビジネスを円滑に進める上で役立ちます。

中国進出を視野に入れて中国人材を採用するのであれば、IT関連の理系人材に加えて、現地の法律に精通した人材を採用することも重要なポイントになるでしょう。

社内に新しい風を吹き込める

中国人材の存在は、自社で働いている日本人労働者に対して、新たな刺激を与えることにもつながります。

ルックスこそ日本人に近い中国人ですが、その考え方は厳しい大陸で培われたものであり、仕事に取り組む姿勢や結果へのこだわりは強いものがあります。

これまで漫然と働くことが多かった従業員が、中国人材の仕事への向き合い方を見て、考え方を改める可能性もあります。

社内の空気に停滞感を覚えている経営者の方は、新しい風を吹き込む意味でも、アグレッシブな中国人材を採用することをおすすめします。

中国人材を雇用する流れ 

日本企業が、中国本土や海外から中国人材を雇用する際の流れは、大きく以下のようにまとめられます。

① 採用活動を行う

② 雇用契約を結ぶ

③ 在留資格関連の手続きを行う

④ ビザの申請・入国

⑤ 就労開始

ちなみに、すでに日本に在留している中国人を採用する場合は、④を飛ばして【①→②→③→⑤】の流れとなるのが一般的です。

以下、それぞれのプロセスについて解説します。

① 採用活動を行う

自社で働いてくれそうな中国人材を探すためには、大きく分けて次のような方法があります。

  • 中国人向け求人媒体・各種メディアに求人広告を掲載する
  • 日本語学校や大学など、教育機関を介して人材を募集する
  • 日本企業向けの中国人材紹介サービスを利用する
  • 自社サイト等で募集をかける

中国人材に自社への応募を検討してもらうにあたっては、中国人材が目を通すことが多い媒体・メディアに求人情報を公開したり、日本語が理解できる中国人材が集まる日本語学校・大学などを介して人材を探したりする必要があります。

これらの方法は、掲載料などコストが限定的というメリットがある一方、これまでに中国人材を採用した実績がない企業にとっては、採用手続きに至るまでの作業負担が大きいかもしれません。

中国人材の紹介が可能な人材紹介サービスは、人材の質もある程度担保されており、採用手続き・採用後の研修に関連するサポートを受けられる場合があります。

なお、自社サイトで募集をかけるのは難易度が高めであることから、十分に採用実績を積み中国人材の採用ノウハウを蓄積してからチャレンジすることをおすすめします。

② 雇用契約を結ぶ

選考の結果、中国人材の受入企業と中国人材側が合意したら、雇用契約を結びます。

雇用契約書には、次のような内容を記載する必要があります。

・職種
・勤務時間
※(始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、就業時転換など)
・賃金
・休日・休暇
・社会保険加入
・雇用期間
・解雇条件 など

また、記載時に特に注意が必要なポイントは、次の2点となっています。

就業場所や従事する
業務に関すること
●業務内容につき、採用人材の学歴・履修科目と関連性があること
●在留資格申請書類に記載された内容と矛盾がないこと
●その他、在留資格の範囲内におさまる業務内容であること
賃金やその支払い
昇給に関すること
●業務上必要な研修につき、「どこで」・「どのように」行うのか記載すること
●研修期間も具体的に記載し、地方出入局在留管理局(入管)から説明を求められた
際に対応できるよう準備しておくこと

③ 在留資格関連の手続きを行う

中国本土や海外にいる中国人材を採用する場合、入管に在留資格認定証明書の交付申請を行います。

交付申請にあたっては、在留資格によって提出すべき申請書や資料が異なるため、事前に確認しておきましょう。

また、すでに日本にいる中国人材を採用する場合は、中国人材自身が入管で在留資格変更許可申請を行ったり、所属機関変更の届出をしたりする必要があります。

④ ビザの申請・入国

審査の結果、無事に在留資格認定証明書が交付されたら、中国人材に郵送またはデータ送付という形で証明書を送付します。

書類またはデータを受け取った中国人材は、在中国日本大使館で査証(ビザ)の発給申請を行い、ビザが発給されたら在留資格認定証明書と一緒に持参して来日します。

⑤ 就労開始

①~④の流れが滞りなく進めば、晴れて自社で中国人材が働けるようになります。

基本的に、在留資格認定証明書・ビザの交付には時間がかかるため、就労スタートの時期から逆算して、ゆとりあるスケジュールを組むことをおすすめします。

中国人材を雇用できる主な在留資格

中国人材を雇用できる主な在留資格としては、以下のようなものがあげられます。

・技術・人文知識・国際業務
・特定技能
・身分系在留資格(定住者等)
・特定活動 など

それぞれの在留資格の詳細については、以下の参考記事をお読みください。 

在留資格「技術・人文知識・国際業務」とは|要件や申請の流れ・注意点も解説

特定技能とは?ビザの申請方法と必要な書類を紹介

在留資格「定住者」とは|特徴や雇用するメリット・注意点を解説

在留資格「特定活動」とは|特定技能1号との関連性や雇用時の注意点も解説

中国人材を雇用後、一緒に働く際の注意点

中国人材を雇用し、現在働いている従業員と協力し合う関係を築くためには、従業員が中国人の気質や働き方を理解した上で接する必要があります。

以下、主に日本企業で中国人材が働くケースを想定して、中国人材と働く際の注意点をいくつかご紹介します。

中国人は「家族思い」で「面子重視」の傾向にある

日本人と比較して、中国人は家族思いの人が多く、旧正月など家族・親類が集まるイベントでは帰国したいと考える人が多く見られます。

企業側としては、採用時にそのような「帰国の可能性があるイベント」を事前にヒアリングし、長期的な目線で業務スケジュールを調整するとよいでしょう。

また、中国人は自他ともに良いところを見つけて褒める国民性があるため、貢献が見られれば人前で褒めたり表彰したりすることで、モチベーションアップが期待できます。

叱らなければならない場合は、上司と中国人材が2人きりの状況を作り、問題点と改善策を伝えた上で指導しましょう。

働き方は「結果第一」の傾向にある

中国人材の多くは、仕事において結果を第一に考えます。

日本では年功序列・終身雇用の空気がまだ残っている企業も少なくないことから、結果第一主義に馴染めないビジネスパーソンも一定数存在していますが、中国にはそのような仕組みがありません。

よって、まずは成果を出すことを最優先に考える人材が多く、要点を押さえた効率的な仕事が期待できます。

しかし、企業によってはそのようなスタンスに馴染まない職場もあることから、上司としては日本企業と中国企業の違いに触れつつ「自社で望んでいる結果の形」を具体的にガイダンスすることが大切です。

個人を優先する考え方の人が多い

中国人材は、チームで仕事をするよりも「個人」で仕事をするスタンスの人、自分の仕事に対する責任感が強い人が多く見られます。

日本企業におけるビジネスパーソンの基本「ほう(報告)・れん(連絡)・そう(相談)」の優先順位が、中国人材は低めの傾向にあるため、報告のタイミングを企業側が指定してあげるとよいでしょう。

中国人材を採用する際は、こういった文化の違いについても把握した上で、人材を採用することが大切です。

まとめ

深刻な労働力不足に悩む日本企業にとって、若くて優秀な中国人材の雇用は魅力的な選択肢です。

中国の厳しい就活事情や、高い能力を持つ人材が多いことから、採用後の活躍は十分期待できます。

しかし、中国人材を採用する場合、気質や働き方に配慮して採用・育成計画を立てなければ、思わぬトラブルにつながるおそれがあります。

安心して自社で働いてもらえる人材を確保するためには、自力で人材を探すよりも、日本の事情について理解のある中国人材を、専門機関から紹介してもらう方が確実です。

Factory labでは、文化や労働条件の違いに配慮して、中国人材の採用に関するサポート体制を整えております。

中国人材の採用に踏み切りたいものの、採用経験がなくお悩みの経営者・企業担当者の方は、お気軽にご相談ください。

ファクトリーラボ株式会社の代表

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