在留資格

ファクトリーラボ株式会社の代表

山本 陽平

公開日

September 30, 2022

更新日

January 30, 2024

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外国人のエンジニアを日本で雇用する方法!就労ビザの種類や注意点を解説

目次

昨今の日本では、日本人エンジニアの不足がIT分野だけではなく製造業でも深刻化している状況です。

その解決策として、海外から外国人のエンジニアを呼び寄せて雇用する企業が増えつつあります。

しかし、外国人を雇うとなるとビザの手続きや在留資格変更など、さまざまな書類や手続きが必要でわからないという方も多いでしょう。

そこでこの記事では、外国人のエンジニアを雇用する方法や注意点を細かく解説していきます。

これから外国人エンジニアの雇用を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

▶参考記事:製造業はなぜ人手不足?原因と人材定着・生産性向上に向けた対策を紹介

日本の人材不足と外国人エンジニア雇用の現状

近年の日本では、たくさんの分野で労働力の不足が問題となっていますが、特にエンジニアの分野において、人手不足は深刻化しつつあります。

近年では外国からのエンジニアを受け入れる企業やそれを検討する会社が増えているのが現状です。

以下では、人材不足に関する具体的な現状を2つご紹介します。

日本国内では多くの業種で人手不足が続いている

日本国内ではエンジニアに限らず、その他の業界でも長年人手不足に陥っているのが現状です。

日本国内での外国人労働者の割合を見てみると、小売業・卸売業の分野が18,5%と最も高く、その後に製造業・宿泊業と続いています。(令和3年度10月末時点)(参考:中小企業白書

また、製造業ではCADを扱える人材が少ないため、CADオペレーター及びCADエンジニアの労働力も不足している状況です。

▶参考記事:製造業で外国人を採用したい企業必読! 雇用に必要な3つの在留資格とは

日本の外国人ITエンジニアの数は10年間で約3倍に増加

厚生労働省が発表している、外国人エンジニア(日本国内で働いている)の統計を見てみると、この10年間で約3倍に増加しています。

その背景には、「日本人エンジニアの採用が困難」という理由があるのです。

日本では、ICT(情報通信技術)の教育度がほかの外国と比べて低いことや、Googleやアリババのような世界的に有名なIT企業が存在しないことなどを理由に、日本人のITエンジニアを雇用することが難しいのです。

そのため、外国人エンジニアを雇用することで、深刻な人材不足の解消を目指していることがわかります。

日本でITエンジニアが不足している理由

なぜ、日本ではこれほどまでにITエンジニアが不足しているのでしょうか。

以下では、その背景と理由を解説していきます。

技術や業界の変化が早い

ITの分野では技術を身につけていれば、職に困ることはないと思われがちです。しかし、それは常に最新の知識や技術をもっていなければならないということです。

ITの分野はその他の業界と比較すると、新しい技術や変化が生まれやすく、頻繁にリプレイスされてしまいます。

そのため、新しい技術に追いついている人材が少ないことも、ITエンジニアが不足している原因です。

少子化の影響

少子化であることもエンジニア不足の影響に関係しています。

出生率がさがるとITエンジニアの分野にかかわらず、製造業なども含めたすべての産業・分野で人手が足りなくなってしまいます。

2016年度2021年では日本の出生率が「1,441.30」だったように、少子化に拍車がかかっていることも人手不足の原因のひとつといえるでしょう。

IT教育の遅れ

日本人の15歳以上の科学的及び数学的なリテラシーは高く、情報技術の分野においてもポテンシャルは遜色はないのですが、そもそも学校教育でITを学ぶ機会がほかの外国に比べて少ないことも要因です。

したがって、ICT(情報技術)に対する経験値が乏しいことも、将来のITエンジニアになる人材が生まれない要因といえます。

日本ではITエンジニアの年収が低い

ITエンジニアが不足している要因として、年収が低いことも大きな理由だと考えられます。

中国やアメリカでは年収が1,000万〜2,000万円ほどあるのに対し、日本では400万〜800万円程となっています。

このように、中国やアメリカと比べると、日本人のITエンジニアの年収は半分以下しかありません。

年収が低ければ、エンジニアを目指そうとする人材も少なくなってしまいますよね。

外国人エンジニアを雇用するメリット

外国人エンジニア雇用のイメージ画像

ここでは、外国人のエンジニアを雇用することで得られるメリットを解説していきます。

海外のIT技術に対応しやすい

外国人エンジニアを採用することで、日本のIT技術だけにとどまらず、海外での最新技術も期待できます。

外国人のエンジニアと仕事をしてグローバルなチームを編成すれば、欧米諸国や中国・インドなど、外国のITトレンドや新しい技術のキャッチアップができることも魅力的なメリットといえるでしょう。

人手不足の解消につながる

外国人のエンジニアを雇用することで、深刻な人手不足の解消につながることがメリットです。

前述したように、労働人口が不足している日本での採用のみに縛られず、海外からの人材を雇用すれば、国内でのエンジニアをほかの企業と取り合うことなく、効率的に労働力を得られます。

日本で確保しにくい人材を雇用できる

日本人のITエンジニアだけにこだわらず、外国人のエンジニアを採用することで、特定の技術をもった優秀な人材を確保できる可能性が高まります。

特定の技術領域のエンジニアについては、日本人エンジニアの採用が困難です。

世界に目を向けて外国人を雇用することで、日本では確保しにくい優秀な人材を見つけることが期待できるでしょう。

社内を活性化できる

一緒に働く仲間に外国人のエンジニアが増えると、異なる文化・宗教、価値観をもった新しい人員の出現によって、グループに刺激が加わることも大きなメリットです。

社内のダイバーシティな環境は、たくさんの良いアイデアが生まれやすく、社員全員のモチベーション向上にもつながります。

グローバル化につながる

日本人以外のエンジニアを雇用して、外国人エンジニアをチームに入れることで、社内がグローバル化するキッカケとなるでしょう。

今後、海外進出や外国向けのビジネス展開を考えている場合、社内をグローバル化しておくことで、将来的にインターナショナルな仕事の開発も進めやすくなります。

外国人エンジニアを雇用するデメリット

外国人エンジニアを雇用することで、優秀な人材確保のほか、社内が活性化するなどのメリットがある反面、デメリットもあります。

以下では、主なデメリットをあげてみました。

コミュニケーションに時間がかかる

外国人のエンジニアとのコミュニケーションにおいては、日本語を十分に理解していないことや、日本人側においても英語力の乏しさなどが問題で、意思疎通がスムーズにいかないこともしばしばです。

外国人、日本人がお互いに日本語や英語である程度のコミュニケーションを図れるように努力しなければなりません。

対策として、外国語でのコミュニケーションを問題なく図ることができる「ブリッジ人材」の採用を検討するとよいかもしれません。

▶参考記事:製造業で必要な「やさしい日本語」力|外国人材のための英語公用語化は必要ない?

価値観や文化の違いがある

外国人エンジニアと一緒に働く際に注意しておきたいことのひとつに「価値観や文化の違い」があげられます。

日本人からすれば当たり前のことでも、外国人からはそうではないことも多くあります。また逆に、時間に大雑把なところなど、日本人から見ると気になる行動もあるでしょう。

一緒に働いていく上では、外国人エンジニアに対して完ぺきを求めず、価値観や文化の違いを考慮して、お互いに妥協点を見つけることが大事だということを頭にいれておきましょう。

▶参考記事:外国人エンジニアの採用と国籍|各国人材の特徴・メリット・注意点などを解説

▶参考記事:タイ人エンジニアの特徴|性格・宗教・教育・就職事情など幅広く紹介

労働・生活環境のサポートが必要

外国人エンジニアを招聘した直後は、日本での生活環境や習慣に不慣れなため、少しの間はサポートが必要でしょう。

例えば生活用品の買い出しや、通勤が電車の場合は電車の乗り方など、日常生活で困ることがないように教える必要もあります。

また、外国人の入居を許可している物件が少なく、外国人エンジニアが住居探しに時間がかかってしまうケースも多々あります。そのため、必要に応じて、受け入れ企業側でも住居確保のサポートを実施していく必要があると言えるでしょう。

手続きに時間と手間がかかる

外国人エンジニアを日本に招聘するには、日本人を雇用するのに比べ、はるかに手間と時間がかかります。

国内在住者を採用する場合、保有している在留資格がエンジニアとして働く上で適切か確認しなければなりません。また、国外在住者を呼び寄せる場合は、在留資格の取得をサポートする必要があります。

さらに、在留資格を新たに申請する場合は、許可が下りるまで時間がかかるという点も考慮しなければなりません。採用した外国人の在留資格によっては、すぐに働き始めることができないということは注意が必要です。

外国人のエンジニアを日本で雇用するために必要な就労ビザ

就労ビザのイメージ画像

外国人のエンジニアを日本で雇用したい場合には、どのような在留資格(就労ビザ)が必要なのでしょうか?

下記に解説していますので、参考にしてください。

在留資格(就労ビザ)とは

そもそも、在留資格(就労ビザ)とはどういったものなのでしょうか。

外国人が日本国内にて合法的に働くためには必ず「在留資格」という資格を出入国在留管理庁から取得する必要があります。

在留資格は外国人が日本国内にて活動する内容によって29種類に分類されています。就労可能なものがある一方で、就労ができない在留資格も存在します。

このうち、就労可能な在留資格のことを、通称として「就労ビザ」と呼んでいます。(このように、在留資格のことを「ビザ」と呼ぶケースは多々ありますが、本来「ビザ」は日本に入国するための許可証のことを指しているため、厳密には異なるものを指しています。)

エンジニアの就労ビザには「技術・人文知識・国際業務」が必要

在留資格(就労ビザ)には複数の種類が存在しますが、エンジニアとして就労する際には、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格(就労ビザ)を取得されるケースが一般的となっています。

「技術・人文知識・国際業務」では、大卒資格を有した方が、大学で専攻した内容と関連のある業務内容に従事することが可能となっており、その名の通り「技術」「人文知識」「国際業務」の分野に該当する業務に従事可能です。また、一定の実務経験を有する方でも取得することが可能です。

・技術:プログラマーやITエンジニア、製造系機械エンジニアなど

・人文知識:企画・営業、経理など

・国際的業務:通訳や貿易事務、デザイナーなど

※ほかにエンジニア職で働く際の有効な在留資格として、高度専門職1号があります。

▶参考記事:在留資格「技術・人文知識・国際業務」とは|要件や申請の流れ・注意点も解説

就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」の申請・取得方法   

ここでは、「技術・人文知識・国際業務」の申請・取得方法を解説していきます。

1:海外にいる場合

雇用したい外国人エンジニアがまだ海外にいる場合には「在留資格認定証明書」の交付申請を行いましょう。

また、申請前には雇用しようとする外国人が「技術・人文知識・国際業務」を取得できる見込みがあるのかチェックすることも大切です。

該当する外国人が以下の状態でないと「技術・人文知識・国際業務」は取得できません。

  • 外国での大学卒業の場合には、日本の大卒に相当することを証明できる
  • 学歴が満たない場合は、国際業務の場合は3年以上、人文知識・技術の場合は10年以上の実務経験がある

また、上記に加えて雇用する企業側が「安定した経営状態」にあることも重要です。

無事に在留資格の許可がおりたら、「在留資格認定証明書」を外国人本人に送付し、在外公館にてビザ申請を行うこととなります。ビザが交付されて初めて、日本へ入国することが可能になります。

▶参考記事:在留資格認定証明書とは|有効期限や不交付リスクについても解説

2:日本国内に在住し、技術・人文知識・国際業務を取得している場合

雇用しようとする外国人エンジニアがすでに日本国内に在留していて「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を保持している場合においては、在留資格変更の手続きは必要ありません。

しかし、現在職務に当たっている業務が在留資格の範囲内だと証明するために、「就労資格証明書」の交付申請を行っておくと安心でしょう。

「就労資格証明書」は、転職先で業務に就く外国人が合法的にその仕事に従事することが可能だ、ということを証明できる公的な書類なのです。

3:日本国内にいて、現在は就労不可のビザをもっている場合

日本国内に在留中ではあるが、就労ができない在留資格を所持している場合には、就労可能な在留資格に変更しなくてはいけません。

そのためには入国管理局にて「在留資格変更手続き」を行ってください。

手続きに必要な書類は以下の通りです。

共通書類・在留資格認定証明書交付申請書
外国人が用意する書類・在留カード
・パスポート
・履歴書(学歴・職歴種について)
・在留資格変更許可申請書(窓口にて配布)
・写真(縦4㎝×横3㎝)
・大学卒業証明書
企業側が用意する書類・会社案内(事業内容が載っているパンフレットなど)
・雇用契約書の写し( 職務内容・雇用期間と賃金の記載が必要 )
・3ヶ月以内に発行された「登記事項証明書商業法人登記簿謄本」
・直近年度の「決算報告書」の写し
・前年分の給与所得の源泉徴収票等の「法定調書合計表」(受付印のあるものの写し)
・定款の写し
・雇用する理由書
大学から用意するもの(留学生の場合)・卒業証書(卒業見込み証明でも可)原本

(参考:独立行政法人日本学生支援機構:出入国在留管理庁ホームページ

▶参考記事:技人国人材の就労ビザが不許可になる理由|事例や対処法・企業の注意点も解説

企業が外国人エンジニアを雇用する方法

雇用契約書のイメージ画像

それでは、どのようにすれば外国人エンジニアを雇用できるのでしょうか。

企業や会社が外国人エンジニアを採用する方法を下記に解説しています。

ホームページに採用ページを作成する

自社のホームページに採用ページを作成する方法は、一番お手軽な方法です。

求職者がホームページを見ることで、会社の雰囲気や理念・仕事内容など、さまざまな情報を得ることができます。

また、自社のホームページに採用ページを掲載すれば、長期的に求職を行うことができるのも大きなメリットだといえるでしょう。

しかし、日本語のホームページや採用ページだと、外国人の求職者は理解することができない場合がほとんどなので、応募ページや職務の概要・待遇などは、ターゲットにしたい外国人の母国語又は英語で表記することが大切です。

外国人エンジニア向けのサイトやSNSを活用する

最近では、企業のSNSを使って外国人エンジニアなどを募集するケースが増えてきています。

いわゆる「ソーシャルリクルーティング」と呼ばれている方法です。

その中でも、LinkedInはビジネスに特化しているSNSで、2020年の時点でユーザー6億人という規模で、海外ではビジネスシーンにおいて日常的に使われています。

日本人にはまだ馴染みがないかもしれませんが、こういったソーシャルリクルーティングを活用するのもひとつの手です。

また、TwitterやFacebookもビジネスのシーンで広く使われているので、ぜひ自社のSNSなどを上手に使ってみてはいかがでしょうか。

外国人エンジニア専門の人材紹介会社に相談する

外国人のエンジニアに特化している人材紹介会社に相談するのも時間や手間を省くための方法です。

自社が希望するエンジニア人材を、専門のスタッフが相談にのった上で紹介してもらえるので安心です。

人材紹介サービス会社は、仕事を求める外国人と外国人を採用したい企業をマッチングさせてくれるだけではなく、採用にあたっての在留資格申請や各種サポートまで実施している企業もあるため、利用するメリットは大きいでしょう。

外国人材派遣会社を利用する

外国人材派遣会社を利用する採用方法もあります。

言葉の問題で外国人とコミュニケーションの心配があっても、エージェントのスタッフが日本語で応じてくれるので安心です。

また、面接をする前に求職者の日本語能力テストなどを実施してくれる場合もあります。

外国人採用を行うにあたって、専門的な知識をもっているスタッフが多いので、初めての外国人採用の時にはサポートを依頼することがおすすめです。

まとめ

外国人のエンジニアを採用するにあたっては、就労ビザの申請やさまざまな書類の用意が必要など、時間と手間がかかります。

しかし、問題の人出不足の解消や、社内をグローバル化させることでのメリットも大きく、外国人エンジニアの雇用は、これからもますます注目されていくでしょう。

外国人エンジニアの採用を迷っている企業様はぜひ、今から雇用にむけて動いてみてはいかがでしょうか。

当社は機械系エンジニアに特化した人材紹介・派遣事業を行っています。当社の経営母体がメーカーであるため、特にきめ細かいサービスを提供できると自負しております。ぜひ外国人雇用をご検討中の製造業のご担当者様は、お気軽にご連絡ください

ファクトリーラボ株式会社の代表

代表取締役社長

山本 陽平

1990年東京生まれ。2013年上智大学総合人間科学部卒業後、東証1部上場の資産運用会社に入社しコーポレート部門に配属。2017年、外国人採用支援及び技能実習生の推進をしているスタートアップに参画。事業部長として特定技能、技能実習、技術・人文知識・国際業務の人材紹介や派遣事業の展開及び支援を取り仕切る。人的な課題、採用や定着に大きなペインを抱えた製造業に着目し、一貫したソリューションを提供することを目的として2022年にファクトリーラボを設立し代表に就任。