外国人材の中でも、特定技能の在留資格を持つ人材のニーズは高い傾向にあります。
しかし、いざ特定技能人材を募集しようと考えた際、どのように求人情報を作り込んでいけばよいのか、イメージが湧かない人も多いのではないでしょうか。
日本人材に向けた求人を出すケースとは、当然ながら条件が変わってきますし、求人情報を掲載する媒体にも違いが見られます。
この記事では、自社が自力で特定技能外国人を獲得する状況を想定して、求人の出し方・作り方・注意点などを幅広く解説します。
特定技能人材向けの求人を出す前に知っておきたいこと
日本人向けの求人情報を掲載することに関しては、掲載媒体と募集要項がそろえば、基本的に求人掲載自体はそれほど難しくありません。
しかし、特定技能人材は「外国人」のため、その点を踏まえた戦略が必要になってきます。
どんな人がターゲットになるのか
一口に特定技能人材といっても、様々なケースが考えられるので、求人を出す前にターゲット像を明確にしなければなりません。
すでに特定技能の在留資格を持っている人材を探すのか、それともこれから特定技能の在留資格に変更する予定の人材を探すのかによって、採用戦略が変わってきます。
さらに言えば、以下の点にも注意を払う必要があります。
それぞれのケースで、採用予定の特定技能人材に求める条件が異なるので、慎重に人材の状況を見極めなければなりません。
特定技能人材を採用するにあたってのチェックポイント
特定技能人材を国内で直接募集する場合、具体的な方法よりも、募集する人材が「応募時点で置かれている状況」に注意することが大切です。
以下、大まかなチェックポイントをまとめました。
技能実習生・特定技能人材を新たに採用する場合、当人が現職の上司等に話を通さず転職活動をしていると、後々の段階になって事がスムーズに運ばなくなる可能性があります。
最低限、外国人材が関係者に転職の希望を伝えているかどうかだけでも、事前に確認しておくことをおすすめします。
日本人が転職する場合、前職に転職活動の事実を隠しながら活動を進めることは、それほど珍しい話ではありません。
しかし、外国人材は日本人に比べて自由な転職活動が制限されているため、できる限り現職の企業や登録支援機関・協業組合等の協力を得た上で転職活動を進めた方がベターです。
留学生に関しては、きちんとルールを守れている人材かどうかの確認が重要です。
週28時間以上のアルバイトに従事している・国民年金を長期にわたり滞納しているなどの事実が発覚した場合、入管から指摘を受け申請不許可になるおそれがあるからです。
せっかくコストをかけて採用するわけですから、申請にかかる手間を省くためにも、事前に人材の素性を確認することが大切です。
受入企業(自社)側も基準を満たしていなければならない
特定技能人材を採用したい場合、受入企業である自社の側でも、所定の基準を満たしている必要があります。
具体的には、以下の3点につき、問題がないことが求められます。
上記の中でも、特に人材支援に関する基準は厳しく、基本的に初めて外国人材を受入れる企業は基準を満たせません。
そのため、多くの企業は第三者機関である登録支援機関に義務的支援を委託して、支援体制に関する許可を満たすことになります。
特定技能向けの求人を出す方法について
実際に、自社で特定技能人材向けの求人情報を出す場合、方法はいくつか考えられます。
以下、主なものをいくつかご紹介します。
求人広告の掲載
スタンダードな方法の一つとして、Web上に求人広告を掲載する方法があげられます。
日本人を採用する場合、紙媒体のメディアを利用する選択肢も考えられますが、外国人材の採用においては需要が少ないものと考えてよいでしょう。
外国人材特化型のサービスもありますから、媒体の選び方・求人広告の出し方次第で、かなり強力に自社求人を露出できます。
価格帯はサービスによって異なり、求人広告の掲載期間が短いほどコストも少なくなる傾向にあります。
ただし、求人広告は応募者数を増やすことには適していますが、数多くの応募者の中から自社の事情に合致した人材を探すのは大変です。
また、人材が見つからないまま掲載期間だけが長引いてしまうと、その分コストは増大します。
自社サイト等に求人情報を掲載して、応募者をつのる方法もあるものの、広告運用のノウハウがない中で情報を掲載しても効果は薄いでしょう。
求人広告の掲載は、他の広告掲載方法・採用手法と組み合わせながら、上手に活用したい方法です。
自社でSNSを運用
特定技能人材を雇用するにあたり、東南アジアの人材を採用するケースは多く見られます。
また、東南アジアではSNSの利用が盛んなため、Facebookなどを使って応募者をつのる方法もあります。
SNSを使えば、自社の求人広告を作成・配信することもできるため、自社のブランディングと求人広告の両方に活用できるメリットがあります。
自社で選ぶプラン次第ですが、広告を配信したい人材の属性や、過去に配信した広告に興味を示している人材の属性などを蓄積して、興味がありそうな人に絞って広告配信を行うことも可能です。
広告クリック数・表示数に応じた課金形態になっていることから、求人サイトに求人広告を掲載する場合に比べると、予算設定がしやすいのも特徴です。
ただ、自力で効率的に運用するにはノウハウが必要になるため、運用に関しては外注を検討した方がよいでしょう。
人材紹介サービスを利用する
直接的に求人情報を掲載するのではなく、求人情報(募集要項等)を人材紹介会社に伝えることで、条件に合った人材を紹介してもらう方法もあります。
人材の選別を紹介会社側で行ってくれる分、応募者と自社とのマッチングが成立しやすく、採用担当者の負担が大幅に減らせます。
求人広告の掲載料などの費用は発生せず、人材が入社したタイミングで紹介手数料が発生するサービスが多く見られます。
逆に言えば、内定が決まらない限り、企業はコストを気にせず人材を選ぶことができます。
デメリットは、その紹介手数料が高くつく可能性があることです。
募集難易度によっても金額は変動するため、早急に人材を確保したい・優秀な人材を探したい場合に限り、ピンポイントで利用すべきサービスと言えるでしょう。
特定技能向け求人情報の書き方・まとめ方の注意点
求人情報をまとめるにあたり、日本人と特定技能外国人とでは、求人掲載で必要な項目に違いはありません。
しかし、外国人材が応募したくなる求人の書き方を意識することで、他社との差別化につながります。
特に、不人気職種であったり、地方からの求人であったりする場合は、求人情報の構成にも工夫が求められます。
以下、特定技能人材向けの、求人情報の書き方・まとめ方に関する注意点をいくつかご紹介します。
もっとも重要なポイントは「給与」
日本人を募集する場合、給与だけでなく「やりがい」や「社風」といった要素も、重要なアピールポイントになります。
しかし、そもそも縁もゆかりもない日本にやってきた外国人材の目的は、身もふたもない言い方をすれば「お金」である場合が多いので、まずは給与に関する記載事項を重点的に検討しましょう。
特定技能人材が、自社に転職という形でやって来る場合、すでに日本での生活・就労経験があります。
つまり、すでに比較対象となる経験を積んでいるので、給与増を目指して転職するのは自然な動機と言えるわけです。
同じ業務に従事する日本人と同等以上の報酬を支払うことは、あくまでも最低限の条件であり、求職者に自社が魅力的な職場であるとアピールするためには、やはりモチベーションアップにつながる給与を提示したいところです。
月収だけでなく、年収とモデルケースについて求人情報に書き含めると、ボーナスの額なども含めて求職者が受け取れる料金をイメージできるのでおすすめです。
福利厚生も重要なアピールポイント
特定技能人材にとっては、福利厚生も職場選びの重要なポイントの一つです。
例えば「家賃補助がいくらあるのか」・「部屋は1人住まいかどうか」など、住宅に関することを気にする人は多く見られます。
業務内容や給与・勤務地などに問題がなくても、住まいが1人部屋でないことを理由に内定を辞退する人材は多いので、その点には注意が必要です。
技能実習生時代に相部屋で過ごした経験のある人にとって、やはり特定技能の在留資格で働く以上、1人暮らしに憧れるのは致し方ないところでしょう。
求人広告を出すのであれば、どんな部屋を貸し出せるのか、家賃補助も反映させた手取り額はいくらになるのか、できるだけ詳しく伝えるようにしましょう。
特定技能人材の判断はシビアになりがちなので、中途半端な表現でにごしてしまうと、求職者の信用を勝ち取ることは難しいものと考えておいてください。
英語・外国語での求人票も用意する
特定技能人材に限らず、外国人材を雇用することを検討している場合、日本語の求人内容だけでは不十分です。
最低限、英語のように外国人に理解されやすい言語を使うことが大切です。
すでに自社で特定技能人材を採用しているのであれば、その人材の母国語を使うなどして、同国の人材を募集するのも一手です。
日本語と他の言語を併記することで、求職者の印象を良くすることにつながります。
内容を「なあなあ」にしない
日本人を採用する場合、新卒を中心に「総合職」として雇用されるケースが多く見られます。
総合職として採用された社員は、将来的に企業の中核として働いてもらうため、幅広い部署での業務経験を積むことになります。
しかし、外国人にとって重要なのは「業務内容」であり、基本的に「求人情報に書かれている内容以外の仕事はしない」ものとして勤務先を探す人がほとんどです。
求人情報に載せる情報を検討する際は、決められた業務内容以外の仕事には従事しないものと考えて、内容を考えた方がよいでしょう。
担当する業務を明確に決めないまま、外国人を採用するつもりだった場合は、募集する職種につき、自社の一般的な社員がどのような業務に従事するのか、あらかじめ確認しておきましょう。
業務内容を詳しく記載しておけば、求職者もその業務内容に目を通した上で応募してくれるはずです。
まとめ
特定技能人材にアプローチをかける方法は、例えば求人サイトに求人情報を掲載する以外にも、たくさんの方法があります。
どの方法を使って採用活動を進めるにせよ、掲載する情報が中途半端だと、なかなか求職者の心をつかむのは難しいでしょう。
なかなか採用につながらない場合は、登録支援機関や人材紹介会社の手を借りることも検討してみましょう。
Factory labをご利用いただければ、人材紹介と登録支援の両方でサポートが可能ですから、お気軽にご相談ください。