特定技能ビザを持つ人材を雇用する際に、登録支援機関を利用している企業は多く見られます。。
外国人の雇用経験がないなどの理由から、とにかく外国人材を雇用するため、あまり深く考えずに登録支援機関を選んだ企業も少なくありません。
しかし、少しずつ状況を理解していくうちに、現在依頼している登録支援機関に対して不信感を覚えたり、支援内容に不満が生じたりしたら、委託先となる登録支援機関の変更を検討してみることをおすすめします。
この記事では、登録支援機関の変更手順、変更に必要な書類などを解説します。
登録支援機関の変更を検討し始めたら
諸々の事情から、登録支援機関の変更を検討し始めた企業は、何はともあれ準備を進めなければなりません。
以下、登録支援機関の変更を進めるにあたり、具体的な手順についてご紹介します。
現在の契約内容についてチェックを入れる
まずは、現在契約している登録支援機関と、どのような契約を結んでいるのか確認しましょう。
登録支援機関と契約する際に、契約終了日の記載がある場合は、契約終了までどのくらいの期間が残っているのかチェックします。
契約終了まであとわずかのタイミングで、契約が自動で継続しない形で契約を結んでいるなら、契約終了に合わせる形で新しい登録支援機関を探し、契約の準備を進めるとよいでしょう。
しかし、契約終了までの期間が長いなら、途中で契約を終了することも検討すべきです。
その場合、契約書の中に「途中で契約を終了する際のルール」が書かれているかどうか、通告する場合はいつ頃までに通告しなければならないのかを確認します。
所定の手続きを踏んで、契約終了の見通しがたったら、新しい登録支援機関を探しましょう。
新しい登録支援機関を選ぶ
次に、自社でこれからお世話になろうとしている、新しい登録支援機関を選びます。
登録支援機関を選ぶにあたり大事なことは、現在契約している登録支援機関に対して「どのような不満を抱いているのか」を明確にすることです。
よくある不満の種類としては、以下のようなものがあげられます。
中には、違法なブローカーが間にいることで、退職者が増えているケースもあります。
このような場合、早急に対策を練らないと、自社の採用状況はいっこうに改善しないので注意が必要です。
ただ、登録支援機関の数は増え続けており、2023年2月2日現在の登録件数は7,853件となっています。
登録支援機関を選び直すチャンスは、今後より増えていくものと期待されます。
どのような登録支援機関に変更すべきかのか?
新しい登録支援機関を選ぶ場合、どのようなタイプの登録支援機関があるのか、特徴を押さえておくと選びやすいでしょう。
一口に登録支援機関といっても、大きく分けて以下の種類があり、それぞれで特徴も異なります。
いずれの種類を選ぶにせよ、自社にとってどの選択肢がベターなのか、よく考えることが大切です。
登録支援機関の解約と新契約を進める
契約したい登録支援機関が見つかったら、いよいよ登録支援機関の解約手続きを進めていくことになります。
注意すべき点は、現在契約している登録支援機関との支援委託契約が終了した場合、終了日から「14日以内」に管轄の地方出入国在留管理局に届出を行う必要があることです。
登録支援機関との契約を終了すると、自社が、
「特定技能外国人支援機関の適正な実施の確保」
に関する基準に適合していない限り、別の登録支援機関との委託契約を締結しなければ、特定技能外国人の受け入れはできないルールとなっています。
つまり、自社で支援できない状況だと、早急に新しい登録支援機関との契約を結ばなければ、これまで働いてくれていた外国人材を手放さなければなりません。
業務上のスケジュールや納期など、穴をあけてはならない仕事を任せている場合、外国人材を唐突に手放すようなことは避ける必要があります。
よって、解約と新契約は、セットで考えてスケジュールを立てましょう。
登録支援機関を変更する際の手続きや必要書類
実際に登録支援機関を変更する前に、あらかじめ必要な手続きや書類について理解しておくと、その分だけ対応が早くなります。
以下、手続きの流れや必要書類について解説します。
変更に必要な書類は2種類
登録支援機関を変更する場合、必要となる書類は以下の2種類です。
特定技能人材を受け入れている企業は、登録支援機関の変更を行ったことを、書面によって地方出入国在留管理庁に届け出なければなりません。
基本的には、届出書の空欄に必要事項を埋めていけば問題ありませんが、①については終了と締結を同時に届け出る書式にはなっていないので注意しましょう。
さらに、登録支援機関を変更したことで、特定技能人材に対する支援計画の変更も求められます。
こちらも所定の書類がありますから、必要事項を記載して届け出ましょう。
届出の方法について
届出の期限は、変更が生じてから14日以内になるので、短期間で届出の準備をしなければなりません。
そこで便利なのがインターネットで、出入国在留管理庁電子届出システムにアクセスすれば、オンラインで届出ができます。
なお、サービスを利用する場合は、事前に利用者情報登録が必要です。
窓口に持参する場合は、自社の本店等の住所を管轄する地方出入国管理局へ持参します。
その際、手続きの曜日・時間が設定されているケースもあるので、事前に確認しておきましょう。
郵送する場合は、窓口と同じく「管轄の地方出入国管理局」宛に送付します。
その際は、身分を称する文書等の写しを同封し、封筒の表面に赤字で「特定技能届出書在中」などと記載するのを忘れないようにしましょう。
まとめると、届出を行う場合、インターネット・窓口・郵送のいずれかの方法を選ぶことになります。
自社の環境で、無理なくできる方法を選ぶようにしましょう。
支援委託契約のみ変更する場合
諸々検討した結果、新しい登録支援機関ではなく、現在契約している登録支援機関と新しい条件で契約を行う場合は、別の形での届出が必要になります。
登録支援機関を変更する場合とは違う書式で届出をする必要があるので、その点に注意しましょう。
届出書の中には、変更の事由を記載する欄があり、複数の変更事項を選択できます。
なお、項目は以下の通りです。
自社支援に切り替える選択肢はアリなのか
登録支援機関とのやり取りを通じて、ある程度特定技能人材の雇用ノウハウが得られたと感じた企業の中には、いっそのこと「自社支援すればよい」と考えるようなケースも出てくるかもしれません。
もし、本気で自社支援を検討しているなら、以下の書類を準備することで、手続き自体は進められるでしょう。
しかし、自社支援の条件はハードであり、単純に「委託費用を節約したいから」という理由で自社で完結せさることを目指すのは、骨折り損のくたびれ儲けになるリスクがあります。
中小企業にとって特に厳しいと考えられるのは、外国人を支援できる体制を整えることです。
特に「外国人が理解できる言葉で支援できる」体制を整える上で、相応の企業規模がなければスタッフを確保しにくいはずです。
その他、認められるためには添付書類や立証資料なども用意することになり、準備にかかる時間と労力を本業の合間に確保するのは、決してかんたんなことではありません。もちろん、登録支援機関で勤務経験のある人材を雇用するなど、自社支援条件をそろえられるなら、チャレンジするチャンスはありますが、人件費がまた増えます。
そこで、Factory Labでは「自社支援コンサルティング」をご提供しております。お客様が自社支援に移行する際に必要な条件が整っているかどうかを確認し、実際にどれだけの節約が期待できるかを試算し、最適なプランをご提案いたします。人数と期間によって、登録支援機関への費用を大幅削減した事例もあります。自社支援への移行をご検討中の企業様は、是非一度Factory Labとご相談ください。
登録支援機関の変更で同じミスをしないためには
せっかく新しい登録支援機関を選ぶ以上、同じような失敗を重ねたくないですよね。
そこで、新しい登録支援機関の支援内容に納得できるよう、自社独自の選定基準を設けておきましょう。
「費用の相場」を正しく知る
初めて外国人材の採用・登録支援機関との契約を行った場合、右も左も分からないまま契約に至ったケースは少なくありません。
インターネットで検索するなどして、実績が豊富に感じられた登録支援機関に決めた企業も多いのではないでしょうか。
しかし、よくよく比較検討して決めないと、後々になってランニングコストが馬鹿にならないことに気付くでしょう。
そもそも、特定技能は技能実習等に比べて新しい在留資格なので、登録支援機関の側も明確な相場観にもとづいて価格設定しているとは限らないからです。
極端な話、月額制なのかスポット価格なのかも、登録支援機関によって違いが見られます。
どんな仕事につき、どれだけの費用が発生しているのか、きちんと説明してくれる登録支援機関を選びたいところです。
登録支援機関は増加傾向にあり、相場観も少しずつできあがっている状況です。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。
⇒登録支援機関に支払う費用|特定技能外国人を雇うなら押さえておこう!
対応可能な国籍をチェックする
ベトナム人材の支援経験が豊富なのか、インドネシア人材の支援経験が豊富なのかなど、得意分野は登録支援機関によって異なります。それぞれに対応可能な国籍を定めているので、依頼する前に確認する必要があります。
それぞれが対応可能な国籍が設定されているため、依頼を行う前に確認が必要です。国籍によっては、基本的な性格や仕事への姿勢に違いがあり、入国手続きや留意点も異なるため、現在の国籍の外国人を採用するか、新たな国籍の外国人を採用するかを検討する際には、事前の調査が重要です。各国別に情報を整理していますので、ぜひご参考ください。
タイ:
タイ人エンジニアの特徴|性格・宗教・教育・就職事情など幅広く紹介
【現地ルポ】タイ人エンジニアの採用・就職事情 〜現地大学のジョブフェアに潜入〜
インドネシア:
特定技能でインドネシア人材を採用する流れ|雇用時の注意点についても解説
【インタビュー】インドネシア人を雇用する際に知っておいていただきたい!大学講師がインドネシアの日本語教育・採用の注意点・就職トレンドについて解説!
【インタビュー】日本への憧れと課題:親日国インドネシアの日本語教育と人材採用で直面する挑戦ーー日本語塾経営者にインタビューしてみました!
ベトナム:
ミャンマー:
自社と似たケースの担当経験があるか確認
国籍以外では、自社の職務や業種にフィットした登録支援機関を選ぶことが大切です。
特定技能は12分野にもおよぶため、幅広い分野に精通しているよりも、一つの分野のプロフェッショナルの方が信用できるはずです。
例えば製造業なら、特定技能だけでなく、エンジニア人材の紹介・派遣もできる登録支援機関だと、採用戦略を立てる上で柔軟に考えられます。
Factory labでも、製造業の多様なニーズに応える人材紹介が可能です。お気軽にご相談ください。
まとめ
登録支援機関の多くは誠実ですが、問題のある機関が見つかる可能性はわずかながらも存在しており、企業との相性も無視できないポイントです。
合わないと感じたまま依頼を継続するよりも、勇気を出して新しい登録支援機関を探した方が、費用対効果の向上につながります。
ただ、やみくもに変更をかけようとしても、前回と同じ失敗をしては意味がありません。
何が悪かったのか・次に望むものは何かを明確にした上で、登録支援機関探しを進めましょう。