コラム・取材

ファクトリーラボ株式会社の代表

山本 陽平

公開日

June 11, 2024

更新日

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【インドネシア現地ルポ】建設業における技能実習生採用の現状と面接会の様子

目次

今回、「株式会社東葉商事様」がインドネシアで技能実習生の面接会を行いました。株式会社東葉商事様は、千葉県で土木工事メインで行っている会社です。初めて、技能実習生採用に至った背景や、インドネシアの送り出し機関、そして面接会の様子をお届けします!

インドネシアの送り出し機関:LPK YONASINDO INTRA PERATAMA

LPK YONASINDO INTRA PERATAMAは2004年に送り出し機関として活動を始め、2019年から日本へ技能実習生の送り出しをスタートしました。現在までに累計、約1,000名のインドネシア人材を日本へ送り出しています。

技能実習生候補者達は寮に住み、併設された学校で日本語や日本の生活・ルールについて毎日、朝から夕方まで学びながら日本に出発する準備を行っています。現在、在留資格取得を待っている方も含め、200名程の生徒が在籍しています。

<実習生1日の流れ>

9時00分  体操10分

9時10分  体操終了、準備

10時     授業①開始

12時    お昼休憩

13時       授業②開始

16時30分  授業終了

日本語の習得が遅れている生徒は、このスケジュールの後に補習授業や放課後学習を行います。また20時頃まで、熱心に日本語を勉強する生徒もいます。

学校には日本人教師も在籍しており、生徒の会話力向上を目指します。特に、技能実習生は日本入国後に現場や工場で会話でのコミュニケーションが基本となりますので、送り出し機関での事前教育で、会話クラスに注力することはとても重要です。もちろん、聴解・文法・読み書きについてもしっかり勉強をします。

インドネシアの技能実習生

インドネシアは親日国のうちの1つで、出入国在留管理庁によると令和4年6月末 日本在住インドネシア人は83,169人と右肩上がりに増えています。

日本語学習者数も世界第2位と多く、アニメや漫画など日本のポップカルチャーに親しみをもっている方も多いです。

インドネシア人の宗教は87%がイスラム教(ムスリム)で、豚肉やアルコールの摂取が禁止されています。しかし、世代や出身地によってあまり気にしない方もいます。例えば、観光地として日本人のとっても有名なバリ島出身者の場合、約90%がヒンドゥー教です。

お祈りに関しては、一日5回する必要があります。勤務時間帯とお祈りの時間が重なる場合、受入企業側が配慮してくださると大変喜ばれますが、勤務時間帯ではなく、自宅に帰ってから数回分まとめてお祈りをする方もいます

また、送り出し機関スタッフによると、最近インドネシア技能実習生に人気の職種は【飲食料品製造業】と【農業】です。こちらの2つの職種の求人票には多くの候補者から応募が見込めます。また、日本から送られてくる求人票の【平均月給は16万円】くらいだそうです。

技能実習生採用の背景

今回、東葉商事様はなぜ初めての技能実習生雇用に至ったのでしょうか?その理由を社長と専務に伺いました!

ー率直に、なぜ実習生の雇用に至ったのでしょうか?

まず、弊社の状況について少し説明しますね。現在、弊社従業員の平均年齢は45歳です。40~70代の方に活躍していただいています。10年以上勤続してくれている従業員もおりますが、一方で若手人材の採用・育成に悩みをもっておりました。

今まで、ハローワークや新聞広告掲載を利用し人材募集をしてきましたが、応募者は50歳前後が多く、建設業全体として若手人材の獲得は緊要な課題と認識しておりました。もちろん、ハローワークや今までの採用手法は一定の効果をもたらしましたが、問題の抜本的解決までには至りませんでした

ー採用の課題とは別に、雇用してもすぐに辞めてしまう方も多いと聞きます。その理由はなんだと思われますか。

おそらく現場仕事特有の「きつさ」が1番の原因かなと思っています。特に弊社は土木といっても業務範囲は多岐に渡り、様々なスキルが必要です。例えば、鉄筋、型枠、舗装工事等です。同じ建設業でも違う職種から転職してこられた方にとってはきつさを感じるかもしれません。また、夏場に鉄工所で行う仕事や、道路工事は暑さに耐えられないという方もいるかと思います。

ーそのようなご状況の中で、外国人雇用の検討をし始めたということですね。

はい。実は以前から実習生については知っていたんです。一昨年、ベトナム人技能実習生を雇用している会社と現場が同じになり、彼らが一生懸命真面目に実習を行っているのを見て、良い印象を抱いていました。

ー最初の印象から今回実際に面接を行ってみて、GAPはありますか?

裏表がなさそうで純粋な印象を持ちました。全体的に性格は引っ込み思案な感じがしますね。今回、候補者の方が暮らす寮や学校も見学しましたが、寮は厳しい環境だと率直に感じました。入寮から日本入国まで約半年、その環境で朝から夕方まで日本語を勉強しながら、生活をされるので、彼らのやる気を感じました。

ー面接ではどのような点を注視していましたか?

インドネシアに渡航する前に履歴書を確認していました。その時点では、みなさんの職歴を特に気にしてみていましたが、やはり会って話してみないと分からないことがたくさんありますね。

例えば、私達からの質問に対し、目をみて回答しているかどうか。日本語で意思疎通が図れなくてもノンバーバルなヒントがたくさんありました。また、既婚者かそうじゃないかについても基準の1つになりました。

質疑応答では「一緒に日本に行きたい/行きたくない候補者は誰ですか?」という質問をしました。彼らは3年間、同じ職場で生活面も共にしますので、この質問は重要だったと感じます。またそれぞれの候補者が他の候補者からどう思われているか、客観的に知ることができました。

体力テストとして行った腕立て伏せでは、候補者達が本当に一生懸命に取り組んでいる姿を見ることができました。

ー約半年後、彼らが入国してくるのが楽しみですね!

今回、弊社は初めて実習生を受け入れるため、これから他の従業員に向けて社内教育が必要だと感じています。彼らが入国するまでの半年間、日本側の受け入れ準備を進めながら、彼らが元気に入国してくれるのを楽しみに待ちたいと思います。

面接会の様子

今回、東葉商事様は3名の技能実習生を採用予定だったため、候補者は合計9名集まりました。9名の熱意あふる候補者の中から3名に絞るため、下記の選考と面談を行いました。

  • SBAC検査:ビジネス適性適性検査
  • サイコロテスト:同じ色のサイコロで塔作り
  • 計算テスト:簡単な算数計算、数数え
  • 体力テスト:腕立て伏せ、25Kgの砂袋持ち上げ
  • 質疑応答:一人ずつ面接
  • 合格者家族面談:オンラインで面接

合格者発表の後には社長から、残念ながら不合格となった候補者に向けて「みんな良い人材だったが制度上、採用人数枠に制限がある。今回は不合格となってしまったが、気を落とさずに、他の会社の面接会にも前向きに挑戦してほしい。」と、温かい言葉をかけてくださっていました。

最後に

建設業界では外国人人材の受け入れが積極的に進んでいます。みなさんも、建設現場で外国人人材を見かけることが多くなったと実感しているのではないでしょうか。

また今般、日本人の採用難の加速により、今まで外国人採用をしてこなかった会社様も受け入れを開始しています。

現在、日本の建設業で働く方の25%は60歳以上と言われています。一方で29歳以下の就業者は15%を下回っています。若年入職者の確保手段の1つとして、外国人雇用について検討されてはいかがでしょうか。

初めての外国人雇用で不安を感じられている企業様や、外国人雇用に悩みや課題を感じられている企業様は是非一度、ファクトリーラボにお気軽にご相談ください。

ファクトリーラボ株式会社の代表

代表取締役社長

山本 陽平

1990年東京生まれ。2013年上智大学総合人間科学部卒業後、東証1部上場の資産運用会社に入社しコーポレート部門に配属。2017年、外国人採用支援及び技能実習生の推進をしているスタートアップに参画。事業部長として特定技能、技能実習、技術・人文知識・国際業務の人材紹介や派遣事業の展開及び支援を取り仕切る。人的な課題、採用や定着に大きなペインを抱えた製造業に着目し、一貫したソリューションを提供することを目的として2022年にファクトリーラボを設立し代表に就任。